E組 チェコ0-2ガーナ
ガーナの見事な試合運びに感服した。早いチェックで中盤を制圧し、ほとんどチェコにゲームを作らせなかった。コレルがいないので前線にボールがおさまらず、こぼれ球はすべて豊富な運動量で拾われる(アサモア・ギャンの運動量は凄かった)。ネドヴェド一人だけが走り負けなかったが、孤軍奮闘。こうなると中盤の底からパスを出せないと厳しい。
びっくりしたのはチェコに退場者が出たあとの試合運び。極端にペースを落としてショートパスをまわしはじめたのである。それまでは2対2の場面でもわざわざ(パスを出さず)DFのあいだにドリブルで切り込んでいったりしてたのに。おまえはイタリアか、と。最後はぐるぐる回してフリーになった選手がとどめの駄目押し点。ガーナはサッカーを知っている。
スウェーデン1-0パラグァイ
スウェーデンの攻めはすごくはっきりしていて、イブラヒモヴィッチとラーションがポストで落としたボールをカールストロムとヴィルヘルムソンがミドルシュート。解説の人が「今大会はミドルシュートが多いですね」と言ってたけど、たしかにそういう気がする。しかしスウェーデンははずしまくっていた。
そう言えばイングランドもランパードがこれでもかというくらいシュートをはずしまくっていたし、ドイツもなかなか入らなかったんだが、どうも宇宙開発とバーに跳ね返るのが目立つような気がする。これってボールのせいもあるんじゃないか? 反発力が高いのか、軽すぎるのか。よっぽど上からきっちり叩きつけないと浮いてしまうのではなかろうか。イングランド戦では最後の最後にジェラードがアジャストして見事なシュートを叩きこんだけど。で、気になるんだけど、日本にあれができるんだろうか……
A組 ドイツ1-0ポーランド
ゴール前でフリーだったクローゼがヘッドを明後日の方に飛ばし、GKと一対一だったポドルスキーがシュートを枠外にはずし、攻めに攻めたドイツがシュート・ミスを連発して、後半に入って退場者まで出て、クローゼが打ったシュートがバーに当たって跳ね返ったのをバラックがシュートしたらポストに当たってはずれるマンガみたいな場面まであって、これはもうどうしようもない、ポーランドは勝ち点拾って命拾いだなあ、と思っていたら最後の最後ロスタイムに、よりによって交代出場の二人でゴールを決めてドイツが勝ってしまった。驚いた。いかにもドイツらしいしぶとさとも言えるんだけど、それができるチームは強い。今回のドイツ、意外と上まで行けるかもしれない(B組二位と当たるベスト16がひとつの壁なんだけど、それを抜けたら一気に行くかも)。
バラックはまったく冴えなかったが、それでも彼が入っただけで守備が引き締まったのには驚いた。守備にはスランプはないのだね。ラームはさらに快調。内に切れ込んでシュートを打てるサイドバックは強いね(センタリングマシーンだと外を切られたとたんに何もできなくなってしまう)。
H組 スペイン4-0ウクライナ
これで一通り見たことになる。スペインはほぼ文句ない出来だったが、グループリーグで調子がいいのはいつものことのような気がする。でもビージャやシャビの切れっぷりを見ていると、今回は違うのかもしれない。
いずれにしても、問題はグループリーグではなくて優勝できるかどうかなので、その意味ではベスト8で当たるイタリアorブラジルが鍵だろう。そこまで汗をかかずに勝ち上がれるのは、普通のチームなら組み合わせに恵まれすぎということになるが、どんな状況でも負けるときはあっさり負けるのがスペインだから……
イタリアは思っていた以上に仕上がりがいい。あとチェコは絶好調だったので、ブラジルはベスト16で当たらないことを祈るべきである。
特別な選手として気になったのはシュヴァインシュタイガー、フィーゴ、ロナウジーニョ。左サイドバックマニアとしてはラームに注目していきたい。ロッベンはもっといいかと思っていたが、なんだかすっかり早いだけの選手だった。チェルシーらしき機能性など求めていないよ! オランダの次の試合には勝利以上に美しさを求めたい。
D組 アンゴラ0-1ポルトガル
フィーゴのプレイが軽かった。まるで全盛期に戻ったかのように早かった。レアル・マドリーの呪いから解かれ、重しがはずれて体が軽くなったみたいに躍動していた。2002年のときには、レアル・マドリーの選手はみんな見るからに疲れ切っていて、これは駄目だな……と思わされたものだったが。ファールで止められても止められても突進してゆく様子はあまりにも感動的だった。
クリスティアーノ・ロナウドのプレイも軽かった。ひたすらボールを持ちすぎてプレイを停滞させていた。ボールを離せば大チャンスというところで突っ込んでいって取られるくりかえし。たぶん開始早々の得点でアンゴラを舐めてしまったのだろう。いや、実際に点差以上の力の差はあったんだけれど、それを生かし切れないあたりでクリスティアーノ・ロナウドの意識の低さを感じてしまう。才能だけで輝けるわけではないのだが。
F組 日本1-3オーストラリア
明らかに俊輔がテンパっていた。パスの精度が悪かったし、プレースキックでもとんでもないミスキックを連発していた。はじめてのW杯に舞い上がっていたとしか思えない。はからずもトルシェの選択が正しかったと四年後に証明することになってしまった。ラッキーな点をもらって、試合に入れたかと思ったんだけど、後半も変わらなかったね。
完全な勝ちゲームだっただけに悔しさばかりが残る。途中までは、本当に、ジーコの強運ばかりが目立ったのに。勝っていたはずのポイントはいくつもある。後半、あれだけカウンターでチャンスを作りながら、クロスがことごとくあさっての方に飛んで決定機が一度もなかったのはいかがなものか。川口がやっぱり予想通りのポカをしでかしたのはしょうがないとしても、小野を入れるくらいなら遠藤か稲本を入れて中盤守備を落ち着かせるべきだったのではないか。まあ、それをいうならアレックスに替えるべきだったんだが……などなど。
まあ、死んだ子の年を数えてもしょうがないんだが。
技術レベルの高さを見せつけた日本だが、同時にあいかわらず戦えない集団であることも見せてしまった。疲れが出たというのはわかるが、同点になった途端にぴったり足が止まってしまったのは悲しかった。福西だけは胸を張っていいよ。
C組 アルゼンチン2-1コートジボワール
コートジボワールはすごくうまかった。テクニックだけならアルゼンチンより上ではないかと思われるくらい。でも、ボールを離すべきところで突っ込んでいってしまうアフリカン・サッカーは健在だった。後半になってそのリズムはアルゼンチンも巻き込んで、すっかりドリブル合戦になってしまったのがおかしい。そこまで含めて、本来ならコートジボワールの勝ちゲームだったのではないか。
ペケルマンの選手交代は意味不明。クレスポを下げたのも、メッシを使わなかったのも。なんというか大熊采配というか、人間力采配を思わせる代物で、もしアルゼンチンが勝ち抜けないことがあるとしたらペケルマンのせいだろう。そう言えばBSの解説は人間力だったんだけど、オフサイドに気付かないまましばらく解説していたのには笑った。