D組 アンゴラ0-1ポルトガル

 フィーゴのプレイが軽かった。まるで全盛期に戻ったかのように早かった。レアル・マドリーの呪いから解かれ、重しがはずれて体が軽くなったみたいに躍動していた。2002年のときには、レアル・マドリーの選手はみんな見るからに疲れ切っていて、これは駄目だな……と思わされたものだったが。ファールで止められても止められても突進してゆく様子はあまりにも感動的だった。
 クリスティアーノ・ロナウドのプレイも軽かった。ひたすらボールを持ちすぎてプレイを停滞させていた。ボールを離せば大チャンスというところで突っ込んでいって取られるくりかえし。たぶん開始早々の得点でアンゴラを舐めてしまったのだろう。いや、実際に点差以上の力の差はあったんだけれど、それを生かし切れないあたりでクリスティアーノ・ロナウドの意識の低さを感じてしまう。才能だけで輝けるわけではないのだが。

F組 日本1-3オーストラリア
 明らかに俊輔がテンパっていた。パスの精度が悪かったし、プレースキックでもとんでもないミスキックを連発していた。はじめてのW杯に舞い上がっていたとしか思えない。はからずもトルシェの選択が正しかったと四年後に証明することになってしまった。ラッキーな点をもらって、試合に入れたかと思ったんだけど、後半も変わらなかったね。
 完全な勝ちゲームだっただけに悔しさばかりが残る。途中までは、本当に、ジーコの強運ばかりが目立ったのに。勝っていたはずのポイントはいくつもある。後半、あれだけカウンターでチャンスを作りながら、クロスがことごとくあさっての方に飛んで決定機が一度もなかったのはいかがなものか。川口がやっぱり予想通りのポカをしでかしたのはしょうがないとしても、小野を入れるくらいなら遠藤か稲本を入れて中盤守備を落ち着かせるべきだったのではないか。まあ、それをいうならアレックスに替えるべきだったんだが……などなど。
 まあ、死んだ子の年を数えてもしょうがないんだが。
 技術レベルの高さを見せつけた日本だが、同時にあいかわらず戦えない集団であることも見せてしまった。疲れが出たというのはわかるが、同点になった途端にぴったり足が止まってしまったのは悲しかった。福西だけは胸を張っていいよ。