決勝戦 イタリア1(PK5-3)1フランス

garth2006-07-10

 ジダンの勢いよく、決然たるヘッドバットは何かを振り切ろうとするかのように見えた。いったい何を振り捨てようとしたんだろう? フランス国民の期待?「時代を背負う天才」としての重圧? あれは自殺だった。たぶんジダンは誰かに殺して欲しかったのだ。

 本来ならば、今回のワールドカップジダンの大会になるはずではなかった。すでに盛りを過ぎたジダンフィーゴが記憶されるような大会であってはならなかった。でも、ベッカムと高給取りの仲間たちはあまりに無能だったし、ロナウジーニョと世界一の攻撃陣はサンバを踊っていただけだった。アフリカからのお客さんはヨーロッパ諸国の老獪さの前になすすべを知らなかった。ドイツは可能性を感じさせたけれど、いかんせんチームとして若すぎる。だからジダンフィーゴロナウドと2002年大会の残像たちにとどめを刺せるのはイタリアしかなかったわけである。でも、そのイタリアでさえ、トッティヴィエラマケレレを凌駕できないというのが明らかになってしまっては、ジダンとしてはもはや自殺して次の世代にバトンを渡すしかなかったのではないか。道化のマテラッツィのために舞台をしつらえ、ジダンは鮮やかに(カップに目もくれず)退場していったのである。

 今大会は守備の大会、守備的MFが目立った大会だった。本当はその優れた守備をさらに打ち破る攻撃力が求められていたはずなのだ。そう考えるとイングランドの罪は本当に重いよ。あとチェコの早期敗退がすべてを変えてしまったね。